進路
IBスコアと海外大学出願の実際(首都圏インターの公表データで読む)
IB DPの45点満点は何を意味するのか。世界平均との比較、首都圏インター6校の公表スコア横断、スコア帯別の海外大学出願の相場観、A-Level・APなどIB以外のルート、進学実績の読み方の注意までを、各校の公式公表データだけで整理します。
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「インターナショナルスクールに通えば海外大学に行ける」——この期待は半分正しく、半分は言葉足らずです。海外大学の出願で実際に評価されるのは学校名ではなく、IBスコアなどの成績・エッセイ・課外活動の積み上げ。そしてスクールごとの実力差は、各校が公表するスコアにはっきり表れます。
この記事では、首都圏のK-12インター19校の調査データから、IBスコアの読み方と海外大学出願の相場観を整理します。ボーディング(寮制学校)や費用の全体像は 海外大学・ボーディングという選択 を、学校の選び方そのものは 名門インターの選び方 をご覧ください。
まず、IBスコアの仕組み(45点満点の中身)
IB DP(ディプロマ・プログラム)のスコアは 45点満点 です。内訳は次のとおりです。
- 6科目 × 各7点 = 42点
- コア(EE=課題論文・TOK=知の理論)= 最大3点(CASは点数化されず修了要件)
そして読み方の基準になるのが世界平均です。IB DPの世界平均はおおむね30点前後(2025年5月は30.6点)、ディプロマ合格率は約80%とされます。つまり、
- 平均34〜35点の学校 = 世界平均を安定して4〜5点上回る水準
- 平均40点超の学校 = 世界的に見ても最上位クラス
「DP平均◯点」という数字は、この世界平均との差で読むと意味が立ち上がります。
首都圏インターのIB実績横断(公表校のみ)
首都圏のK-12インター19校のうち、IB DPのスコアを公表しているのは以下の6校です(当サイト2026年7月調査・各校公式の直近公表分。カード形式の一覧と各校の詳細は K-12一覧の出口実績まとめ にあります)。
| 学校 | 直近公表 | DP平均点 | 合格・取得率 | 分母・補足(公表ベース) |
|---|---|---|---|---|
| KIST(清澄白河) | 2025年5月 | 42.0 | 取得率100% | 満点45点が8名=学年の25%。5年連続で平均41点超。フルDP受験率は85% |
| GIIS東京(江戸川区) | 2025年5月 | 35.4 | 非公表 | 前年2024年は受験17名・平均30.3点と振れ幅大。分母が小さい(確度中) |
| サンモール(横浜) | 2025年5月 | 34.2 | 合格率100% | 候補29名・満点1名。前年も96%・35.3点 |
| YIS(横浜) | 2024年5月 | 34 | 合格率97% | 候補63名・最高42点。過去5年は34〜37点で安定 |
| ホライゾン(横浜) | 2024-25 | 32.5 | 取得率90% | 校内最高41点。取得者の4人に1人がバイリンガルDP |
| アオバジャパン(練馬ほか) | 2025年5月 | 31 | 合格率77% | 候補35名(卒業53名中。18名は自校GLD進路)。数字は合格者平均 |
KISTの平均42.0点は世界平均を10点以上、上回る国内トップ級の数字です。一方で、平均点の定義(取得者平均か合格者平均か)や分母の開示水準は学校差が大きく、この表を単純な序列として読むことはできません(後述の「読み方の注意」参照)。KISTとアオバジャパンの比較は KIST vs アオバジャパン に詳しくまとめています。
スコア帯別・海外大学出願の相場観
ここからは一般論です。海外大学の出願要件は大学・学部・年度により異なり、IBスコアだけで合否が決まるわけでもありません(エッセイ・課外活動・推薦・面接が総合評価されます)。「◯点なら◯大学に受かる」という断定はできない前提で、世界的によく言及される目安の範囲だけを示します。
| スコア帯 | 世界平均との関係 | 出願の相場観(一般論) |
|---|---|---|
| 40点以上 | 平均を10点前後上回る | 世界の最難関大学圏に挑戦しうる水準。英国の最上位大学が条件付きオファーで求める水準としてよく言及される帯 |
| 35〜39点 | 平均を5点前後上回る | 英米の有力大学圏が視野。英国の条件付きオファーの目安として広く言及される帯 |
| 30〜34点 | 世界平均前後 | 出願先の幅は依然広い。日本の大学のIB入試・総合型も有力な選択肢に |
実際の照合先として、首都圏インターの outcomes(公式公表の合格・進学実績)を見ると、平均42.0点のKISTはケンブリッジ・オックスフォード・スタンフォードや東大・慶應・早稲田を、平均34点帯のYISはケンブリッジ・UPenn・トロント・UBC・東大PEAK・ICUを、平均31点(合格者平均)のアオバジャパンはシカゴ大・UCバークレー・東大・阪大・慶應・早稲田を公表しています。スコア帯と実績リストのグラデーションは、おおむね上の相場観と整合します。
繰り返しになりますが、出願要件は大学・学部・年度により異なります。志望校が具体化したら、必ず各大学の最新の入学要件(IBの総点だけでなく、HL科目の指定点まで)を公式サイトで確認してください。
なお日本の大学も、上智のIB入学試験、ICUの総合型、早慶のAO・英語学位プログラムなどIBスコアを評価する入試が増えています。国内インター育ちのお子さんは東大・慶應の帰国生入試が原則使えないなど制度上の注意もあるため、国内進学の詳細は 進路マップ をご覧ください。
IB以外のルート(A-Level・AP・OSSD)
海外大学への出口はIBだけではありません。首都圏インターには英国系・米国系・カナダ系の課程もあり、それぞれ出願の作法が違います。
英国系(IGCSE→A-Level)
- BST:A-Level A*〜Aが59%・GCSE 9-7が68%(いずれも2025年夏・公式)。進学はケンブリッジ・Imperial 3名・UCL 10名・京大・早稲田など。ただし2025年にIB認可を取得し、A-Levelは2026年夏が最終試験(IB DP初試験は2027年見込み)という移行期にあります
- ラグビー・スクール・ジャパン:柏の葉のIGCSE→A-Level校。1期生10名が2025年卒業し、大学オファーは北京大・キングス・カレッジ・UBC・マギル(奨学金付)・上智など。A-Levelの成績統計は非公開です
- マルバーン・カレッジ東京:英国式×IBのハイブリッド(DPは認定手続き中・要確認)。2023年開校のため卒業実績はまだありません
英国新設2校の比較は マルバーン vs ラグビー にまとめています。A-LevelはIBより科目を絞って深く学ぶ設計で、英国大学の条件付きオファーとの相性が良いルートです。
米国系(ハイスクールディプロマ+AP)
米国式はディプロマ(卒業資格)にAP・SAT等のスコアを組み合わせて出願します。
- ASIJ:AP試験でスコア3以上が89%・平均3.91(2025年・906試験・世界平均64%)。SAT中央値1350。進学実績は2023-25卒合算でハーバード4・イェール4・スタンフォード2・MIT2・UCバークレー10・UCLA13・東大3・早稲田6など。1学年約142名・専任カウンセラー5名
- CAJ:AP合格率(3以上)83%(2025年・188試験・受験82名)。SAT中央50%は1100-1400。進学は2022-25でハーバード・コーネル・ICU 10・早稲田18・慶應4・UBC 4など
カナダ系(OSSD)
- コロンビアインターナショナル(所沢):卒業でカナダ・オンタリオ州の高校卒業資格OSSDを取得。統一試験のスコア実績はなく、進学先はマギル・トロント・UBC・NYU・UCバークレー・ICU・慶應・早稲田など101校の累積リストが公式にあります(年度・人数の記載なし)
進学実績の読み方——5つの注意
各校の数字を比べる前に、必ず押さえたい読み方の注意です。
- 分母を見る。平均点は「何名が受験した平均か」とセットで初めて意味を持ちます。KISTですら2025年のフルDP受験率は85%(毎年全員がフルDPではない)、アオバジャパンは卒業53名のうちDP受験は35名です
- 平均の定義を見る。取得者平均か合格者平均かで数字の性質が変わります。アオバジャパンの31点は合格者平均です
- 年度と振れ幅を見る。GIIS東京は2024年30.3点→2025年35.4点と1年で5点動いています。分母が小さい学校ほど単年の数字は揺れます
- 「合格」と「進学」を区別する。合格リストは1人が複数大学に合格した延べ件数を含みえます。ASIJのように複数年合算(2023-25卒)の学校、コロンビアのように年度・人数なしの累積リストの学校もあり、同じ「実績」でも粒度が違います
- 非公開・実績なしにも理由がある。NewISのように進学実績を非公開の学校、マルバーン・CTIS・TISのように開校が新しく卒業生がまだいない学校もあります。新設校は実績の代わりに、母体校の実力・カウンセリング体制(ラグビーは専任大学カウンセラー+英国29大学の大学フェア、ホライゾンは専任カレッジカウンセラー配置)で判断することになります
費用の全体像(K-12+海外大学)
- K-12段階:首都圏インターの年間学費は約60万円(IISJ横浜)〜550万円(ラグビー・デイ生)と幅広く、一貫で通うと卒業まで総額5,000万円規模(GIIS等の抑えめの学校を除く)になります
- 海外大学段階:学費+寮・生活費で年500万〜900万円が目安とされますが、実際は大学・国・為替により大きく異なります。給付型奨学金やニード・ベースの支援を獲得できるかで実質負担は二極化するため、費用設計と奨学金の考え方は 海外大学・ボーディングという選択 をご覧ください
まとめ——スコアは「世界平均との差」と「分母」で読む
- IB DPは45点満点・世界平均は30点前後。学校の公表平均は世界平均との差で読む
- 首都圏でスコアを公表しているのは19校中6校。横断比較と各校詳細は K-12一覧 へ
- スコア帯別の出願の相場観はあくまで一般論。要件は大学・年度で異なり、総合評価が前提
- A-Level・AP・OSSDというIB以外のルートもあり、志望の大学圏に合わせて課程から逆算する
- 実績は分母・定義・年度・合格/進学の区別に注意して読む
出口から逆算した学校選びの軸は 名門インターの選び方 に、その入口になるプレスクール42校の一覧は 学校一覧 にまとめています。

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